どんなに優れたオーディオシステムも、使う人がいなければ仏つくって魂入れず、画竜点睛を欠く、誰かに選ばれ、大切に育てられてはじめて完成するものです。そんなわけで、ダイナミックオーディオの佐藤(企画)と柴田(3Fマネージャー)が実際のユーザーのお宅を訪問して、オーディオや音楽の話を聴いてみようというコーナーです。
佐藤:「柴田君、最近いいカメラを買ったようだけど」

柴田:「そうなんだよね~。でもまだよく分んないところがあるから山口さんに聞いてみよう!」
記念すべき第一回のお客様、山口さんはプロのカメラマン。
三年程前にYAMAHAの<CD-S3000>を買っていただいて以来、お世話になっている我々の大切なお客様です。今回は我々の取材を快諾いただき、ご自宅に案内してくださいました。

山口さん:「ところで僕Accuphase使ってるけどいいの(笑?」
佐&柴:「はははは!全然大丈夫です!」
※2016年現在、残念ながらダイナミックオーディオでは Accuphase は取り扱っておりません。※追記、その後 Accuphase 取扱となりました。
【山口さんの装置】
Turntable:LUXMAN PD-171AL
Tonearm:ortofon RS-212D
Cartridge:ortofon MC Q10, MC Q20, MC-20, DENON DL-103R
Phono amp:Phasemation EA-200
Stepup Trans:Phasemation T-500
Digital Player:YAMAHA CD-S3000
Pre amp:Accuphase C-2120
Power amp:Accuphase A-36 2台 (Bridge or Bi-amp)
Speakers:B&W 804D
Rack:QUADRASPIRE Q4D SLIT
Record Cleaner:Clearaudio Smart Matrix pro
Room Tuning:Acoustic Revive, Acoustic Grove System ANKH-III
佐藤:「大変きれいに使ってくださっている。神経質とか几帳面とかいうのではなく、それぞれの機材に気持ちの行き届いた…」
柴田:(カシャァッ

佐藤:「おおい!スマホで撮るなよ!せっかくいいカメラ持ってるのに!」
柴田:「いやいやいや!ちゃうちゃうちゃう!これはあの、記録だから!情報だけだから!(謎」
山口さん:「ははは、そのf1.4のレンズだったらこの部屋の明るさなら全然イケるはずですよ。でも実際この部屋で自分以外の人が聴くのって珍しいんですよ」
佐藤:「ご家族もですか」
山口さん:「妻はぜんぜん聴きませんが、娘はたま~に”パパこれ聴かせて”なんてね、ピアノをやってるから」
佐藤:「ご自身もギターをやってらっしゃるんですね?」
山口さん:「うん。昔から好きでね、中学校の頃からビートルズが好きだったからその頃はいわゆるセミアコでね。ちょっと一曲聴いてみましょう」
The Beatles : Here Comes the Sun
柴田:「いや~人に聴かせてもらう音楽ってホントに気持ちいいですね!」
山口さん:「で、気持ちいい&どういう風に聴こえます?率直に(笑」
佐藤:「僕はビートルズはいわゆるハイエンドシステムでの再生が難しいと思っていて、というのは通常の音源の再生とは違った難しさを持っているからで、それは位相が正しかったり広帯域が出せるというハイファイ感とはまた違う部分にビートルズの良さがあるからで、その良さが出るためには初めて聴いた時のトキメキ感が再現されなければならないと思っていて………それがちゃんとありました」
一同「(笑)」
山口さん:「確かに言う通りで、忘れもしない親父に買ってもらったSONYのレシーバーで聴いたビートルズっていうのが自分にとって特上の音だったんだよね」
柴田:「最初の衝撃っていうのはやっぱりすごいですよね。僕も子供の頃、友達のお父さんに聴かせてもらったオーティス・レディングが、あれから何百回も聴きましたけどあの時の衝撃は超えられないですね。あれがきっかけになってレコード屋に通うようになったんですよ。沢山買わされたなぁ~」
山口さん:「分かります。僕もそうだったから、でその頃にね、なぜかこういうレコードをジャケ買いしたわけですよ」

柴田:「え!その当時のそのものが残ってるんですか!?」
山口さん:「うん。僕はO型でそんなに几帳面じゃないはずなんだけど、ここに買った日にちまで書いてある」
Sonny Rolins : Alfie’s Thema
佐藤:「当時ビートルズ、というかロック少年だった山口さんにこのジャケットは何か期待させるものがあったということでしょうか?」
山口さん:「その話をしちゃいましょう。これがね。実は映画のサントラなんですけど、この映画、ジャケットにちっちゃく写ってるジェーン・アッシャーていうのが出てて、まぁすごい女優というわけではないんだけど、この人がビートルズが一番売れてる頃にポール・マッカートニーが付き合ってた彼女だったんだよね」
柴田:「なるほど!結局ビートルズに関係する情報が欲しくて…つながった~」
山口さん:「そうそう。でも結局のところよく見るとこれサイドマン含めすごいじゃないですか、それでケニー・バレルかっこいいなだとか、オリバー・ネルソンすごいなって、でジャズを聴くようになったんですよ」
佐藤:「そういう小さな力が長い年月をかけてひとりの人間の方向を大きく変えていったりするものなんですよね~」
山口さん:「それからね、ビートルズはずっと好きなんだけど、高校生になってバンドをやってるうちに嗜好がこっちに遷ってきちゃう」

The Band : Rock of Ages
佐藤:「B&Wのパブリックイメージに分析的っていうのがあると思うんですけど、ともするとそれは何か他人行儀な冷たさを感じさせることもあるわけですが、山口さんの再生にはもっと親しげにこちらに届いてくるものがある。B&Wでも熱い音というのは出来るんだぞ、というのを改めて感じましたね」
柴田:「うん。音楽が身近に来てくれる感じ」
山口さん:「仕事仲間にB&Wの805Nを使っている人がいてね、ジャズを聴かせてもらったんだけど、サックスにしろ何にしろ”響き”が違うというか、自分の今まで知らなかった”こんな世界があったのか”という音を聴かせてもらったんですよ、彼に。それでオーディオにハマっちゃった」
佐藤:「柴田から最初に買っていただいたのはYAMAHAの<CD-S3000>ということですが、この製品を選ばれた決め手は何かあったんですか?」
山口さん:「うん。色々聴かせていただいた中で、何だかバランスがね、うまく説明できないけどしっくりきたんですよ」
柴田:「それが一番大事だと思います。しっくりくる。肌に合う。一見曖昧な感覚ですけど、比べる上でそれを感じたものを選ぶのが実は的確だと思うんですよ」
山口さん:「実際試せるのはいいよね。Phasemationのフォノイコライザーなんかは柴田さんに自宅試聴させてもらって助かりました」
佐藤:「フォノイコライザーなんかは特に、実際使っている装置と組み合わせてみないと分からない部分ありますからね」
山口さん:「そうなんですよ。それとね、機械にトラブルが発生した時なんかに柴田さんがいてくれて本当に助かります」
佐藤:「あ~色々あったわけですね(笑」
柴田:「いや~こういうことが起こるのかっていうね(笑」
山口さん:「はっはっはっ!そうなんですよ。まぁその辺の摩訶不思議な話はここではあれだから、どうです?蕎麦でも食いに行きますか!」
佐&柴「いいですね~」

後記)
第一回お客様訪問記、いかがでしたでしょうか。「機械はキレイでないといけないんですよ」という山口さんのサウンドは、清潔感のなかに音楽の情熱をしっかりと伝えてくれるものでした。同じ装置でも使い手によってその表情を変えるのがオーディオの面白いところですね。山口さんありがとうございました!